クライトン生物無機化学

生物無機化学は，医薬品，環境，触媒，材料などと関わりつつ重要性を増している. 本書は，進展著しい生物無機化学の最新教科書である．基本原理，生体内の金属，医学や環境に関わる金属，の三部から構成されており，生体内での金属イオンの役割が，金属種ごとに，構造に根ざした詳しい議論とともにまとめられている．化学を踏まえて読むと，金属イオンから見た生命現象の理解が深まるだろう．

 

 　[評者]　杉浦幸雄


評者：杉森　保　富山大学薬学部化学（生化学 第88 巻第4 号，p. 544（2016））

 

原著名：Biological Inorganic Chemistry A New Introduction to Molecular Structure and Function Second Edition 原出版社名：Elsevier Limited

主要目次：生体系の金属と代表的な非金属／錯体化学の基礎／構造生物学と分子生物学／生体内の金属配位子／中間代謝と生体エネルギーの概説／生体内の金属の研究手法／金属同化経路／金属イオンの輸送・貯蔵・恒常性／ナトリウムとカリウム／マグネシウム／カルシウム／亜鉛／鉄／銅／ニッケルとコバルト／マンガン／モリブデン，タングステン，バナジウム，クロム／非金属／バイオミネラリゼーション／脳内の金属／金属と神経変性疾患／医薬品の中の金属と金属医薬／環境における金属