物理化学実験法 第５版

編者のことばから：第5版は初版とくらべると，内容はさま変わりしているが，狙いとするところは一貫して変わっていない．本書は，学生がプロの研究者として育つために身につけなければならない基本的な実験技術のガイドブックであって，同時に物理化学を体験によって学ぶことを目標としている．科学全体の進歩の一翼としての物理化学の役割の変化を取入れるため，今回の改訂でも実験テーマを入れ替え，記述を新しくした．すなわち，第4版と比較して，現在はほとんど行われていない二つの課題を削除し，代わりに2課題を新設した．新設したのは，「気体の圧縮因子」と最近生化学分野で広く使われるようになった「核オーバーハウザー効果（NOE）」である．従来からの実験課題についても，内容をこまかく見直し，全面的な加筆・改良をほどこし，読みやすい記述にした．使用する機器類をいまの時代に合ったものとした．

主要目次：実験を始めるにあたって／実験記録とレポートの書き方／赤外吸収スペクトル／可視・紫外吸収スペクトル／蛍光・りん光／光化学（蛍光性分子の消光反応）／Ｘ線回折／核磁気共鳴（高分解能ＮＭＲ・ＮＯＥ）／誘電率／磁化率／固体の電気伝導／液体の蒸気圧／分配係数／凝固点降下／示差熱分析と示差走査熱量測定／反応エンタルピー／気体の音速と熱容量／２成分系の気液平衡／３成分系の相図／気体の圧縮因子／一次反応の速度定数／二次反応の速度定数／光触媒反応／表面張力／表面圧／固体の表面積／吸着平衡：溶液から固体表面への吸着／液体および固体の密度／液体の相互溶解度／固体の溶解度／拡散係数／ブラウン運動／粘性率／ゴム弾性／電離平衡と伝導滴定／電池／電子回路／ガラス細工／真空実験／付録